神仏習合の話

神仏習合の起りは、八幡信仰から生じたとされてゐる。八幡信仰は、元々、誉田別命(応神天皇)を八幡大菩薩と云ふ仏様として拝む信仰だつた。清和源氏氏神や軍神として石清水八幡宮鶴岡八幡宮から各地へ勧請された。
神道では八百万神を崇拝する為、仏教の仏様をもカラから齎された神々として受入れて八百万神と同様に崇拝してゐた。
一方、仏教の側では本地垂迹説が説かれ、仏を本地として、神道の神々は仏が現世に仮の姿を現した垂迹神として捉へられてゐた。

神仏習合の社
神社 神名 仏名 総本社 備考
八幡宮 誉田別命(応神天皇) 八幡大菩薩 豊前国 宇佐神宮 清和源氏氏神
祇園社 素戔嗚尊 牛頭天王 山城国 八坂神社 御霊会信仰
稲荷社 宇迦之御魂神 荼吉尼天(ダキニ) 山城国 伏見稲荷大社 三河国 豊川閣妙厳寺
出雲社 大己貴命 大黒天(マハーカーラ) 出雲国 出雲大社 国造の神
厳島 市杵島姫命 辨財天(サラスヴァティ) 安藝国 厳島神社 安藝の宮島
琴平宮 大物主神 金比羅(クンピーラ) 讃岐国 金刀比羅宮 航海安全
秋葉社 火之迦具土 大聖不動明王 三河国 秋葉神社 火防の神

神仏習合で代表的な処を選択してみた。現在は、仏の部分が切離されてしまつたが、民間信仰では未だに生き続けてゐる部分も在ると思はれる。
其の外、山岳信仰修験道でも神仏習合が行はれてゐたので、註記とする。