石切さんへの道

今回、連れを伴つて石切さんに詣でて来た。
列車で移動する途中、数駅前辺りから車輌の中は連れと二人だけになつてゐた。……。其の侭暫くして列車が新石切駅に到着した。駅前は大きな辻になつてゐて、順路に従つて歩道橋を歩いて行くと下のはうからいい匂ひがした来た。有名なドーナツ屋だつた。
道に沿つて歩いて行く。左手に妙に平べつたい建物が在つた。何かの洋品店のやうだつた。「不思議だね」とか言ひ乍ら連れは写真機を手に何やらやつてゐたみたいだ。直ぐ脇には綺麗な花の附いた雑草のやうな草が並んでゐる。
其の奥にはお不動さんか何かの小社が在つた。この辺りはもう石切さんの神域なのかも知れない。其処で左に折れて、民家の並ぶ道を進むと、右手に鳥居が見えて来た。鳥居の左脇に石碑が立つて、「式内社 石切劔箭神社」と書かれて在つた。河内国河内郡鎮座の由緒正しい神社と云ふ。鳥居を潜つて細い参道の坂道を真直ぐ上つて行く。参道の左右にはヲバサン向けの洋品店やら、怪しげな占の館やら、八百屋やら、観光客目当ての土産物屋やらが雑多に並んでゐる。「アッ」と言つたか言はないかの瞬間に連れは何かを写真に収めてゐたやうだつた。程なく左手に石切さんの二の鳥居が見えて来た。